初めから伝える気もなかったのだから、いつか身を引くことに躊躇はしない。

 

 

もとより、あってはならぬ関係だと言ってしまえばそれまでだ。
自らの主を、一国の君主を、地に組み敷き己の欲望を突き立てる、そんなことが許されていいはずはない。

孫権様はかたくなに否定されるが、俺の身体に走る無数の傷が、孫権様が俺を気にかけて下さる要因となっていることは紛れもない事実だろう。
無論、罪悪感のみではなかろう。そんな、ご自身を粗末に扱うようなことをして頂きたくはないし、孫権様は誇り高き方だ。
それに、その身が欲しいから守り庇って傷を負う、そのような姦計にみすみす嵌るような愚鈍でもない。
自らのご意志で、俺を愛してくださっているのだと信じてはいる。

だからこそ、そのお心が離れたのなら、そのときはもうそれに縛られないでいただきたい。
俺に飽かれたら、ためらわずに捨てて欲しい。
そう、心から願っている。

大丈夫、たとえあなたの気持ちが離れても、俺は変わらずあなたを愛している。
引きとめもしない、すがりもしない、あなたの目に障らぬところで、けれどあなたのためだけに生きるから。
受け取られなくてもいい、見返りなど求めない、けれど忘れない。
たとえあなたが誰を愛そうと、誰があなたを愛そうと、俺があなたを愛することだけは奪わせない。
どんなに離れても、時がたっても、この愛からは逃がさない。

 

あなたを傷つけるようなことは決してしない。

けれど。

 

追い詰めるようにあなたを愛した

 

 

俺の罪。

 

 

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