Mirror
 手を。強く握れば同じだけ握り返す。
	 力を抜けば、そっと離れていく。
同じように、同じように。私がするのと寸分狂わず。
 求めれば、誓いの言葉を。
	 話しかければ、短く応える。
指したものだけ与えてくる。余分なものは一切伴わず。
二人でいるのに一人のようだ。
 見つめれば、見つめ返す。その瞳に私が映る。
 
 お前自身はどこにいる?
 
目の色も。髪の色も。体格も顔立ちも、何もかも違うのに。
まるで…鏡を見ているようだ。
 どうせなら、この焦げつく胸の内まで、
	 すべて映してくれたらいいのに。
そばにいるのが自然だなんて、そんな存在になって欲しかったわけじゃないのに。