「もうやめてもらおう。」
「おっ?…なんだよ、もう親父の命はどうでもよくなったのか?」
「やれるものならやってみるがいい。もう私はいいなりになどならぬ。このことが知られて困るのは貴様らもだろう。」
部屋を訪れたいつもの面々に孫権がそう告げると、男らは少し驚いた顔をした後、しかしまた余裕の表情を浮かべた。
「そーかい。まぁ、別にいいんだけどな。俺らだって好き好んで髭面のヤローを犯りてえわけじゃねえし、可愛い女の子の方がいいに決まってるさ。なぁ?」
――――なん、だと…?
「……確か夷稜から戻ってたよなあ。気の強そうな女が二人。ああ、あとおとなしそうなのも来てたっけか?へへへ。」
……嘘だろう…
「や、やめろ、やめてくれっ!!」
妹と、その友人、そして義姉の姿が浮かぶ。
青ざめた孫権の顔を見て、男たちが嘲るように笑ったが、孫権にとってはそれどころではなかった。
「頼む、それだけは…っ!」
可愛い妹、美しい義姉、気丈だが可憐な徳川の姫君。
万が一にでも彼女らに何かあったら、兄に、家康殿に顔向け出来ない。何より自分自身、大切な、大切な家族たちがこのような者どもに穢されるなど耐えられようはずがない。
「何でもする、だから、それだけはやめてくれ、頼む…っ」
膝から崩れ落ち、懇願する孫権を鼻で笑って男が言う。
「そこまで言うんならしゃあねえなぁ。お前で我慢してやるからよ、せいぜい俺らを満足させるよう奉仕するんだな。」
……そう、それしかないのだろう。
愛しい家族を守るためには、夜の間中、この者どもを自分の元に引きつけておくしかない。
各部屋に見張りの付いた今では、助けに行こうとすれば騒ぎになる。たとえ乱暴を阻止できても、このような話が広まればそれだけで彼女らにとってはあまりに残酷な辱めだ。
あまつさえ、もし、もしも間に合わなかったら…いや、そんなこと、考えたくもない。
おそらくこんなことをしているのがこの6人だけだというのが、不幸中の幸いといえばそうなのかもしれなかった。
「言ってみろよ、『どうぞこれからも可愛がってください』ってな、ひゃはは!」
男どもが吐く侮辱の言葉も、もはや気にしてなどいられない。
…尚香…義姉上…どうか、どうか一刻も早くここから……。