律儀な男だ、と思った。
犯すのなら、あの鬼どものように、自分の快楽だけを追えばいいのだ。ただ吐き出すためにのみ動けばいいのだ。
なのに今、孫権の後孔を出入りする男は、それだけでなく前で勃ち上がるものを、胸の尖りを、絶え間なく刺激し、孫権を追い上げる。
怒りのうちに抱いているというのに、どこまで、この男は優しいのか。
ぎゅっと目をつぶり、孫権は霞んだ意識で周泰の動きを追った。
自分でも不思議なほど、たまらなく、感じる。
触れられるところすべてが熱く甘くとろけるようだ。周泰の指がぞわぞわと体中を這い回り、熱を点してゆく。
あの男どもから受けていたものと同じ行為とは思えないほど体は素直に燃え上がった。
今まで、快楽を感じたことなどほとんど無かったのだ。ただただ苦痛と屈辱の中、時間が過ぎ去るのを待つだけのもの。
それがこれはどうだ。
胸の突起は鋭く切なく疼き、下腹の茎はぞくぞくと射精欲を訴え、繋がった部分は陵辱者を喜ぶようにひくひくと蠢く。
涙は制御できない快楽によって溢れ、抑えきれない声が喉を嗄らす。
「っはぁあっ…、あっ、うぁぁっ」
この感覚がもし、奴らとの行為にあったなら。
苦痛による責めよりもむしろ、残酷な拷問だったかもしれない。
保っていたものをぼろぼろに剥ぎ取り、精神を犯す。心が壊される。
…だけど、今は、かまわない。
ずっと前から、とうに、私の心はこの男にすべて侵されていたのだから。
秘めた恋だった。
気づかれぬよう、ことさらに尊大に振舞っていても、傍にいるときはいつだって泣きたくなるほど切ない想いに焼かれていた。
初めから、叶うことないとわかっていた恋だけど。
これでもう、本当に、告げることなど出来なくなってしまった。
知られてしまった。
辱めを受け、消えることない汚れに染められてしまったこの体。
そんな私、「おまえが好きだ」なんて、もう、決して。
未来永劫、言えるわけなんてない。