居心地の悪い沈黙に、知らず強張らせていた体を自然な力で倒されて、はっと気付いた時にはちょうど周泰の目の前に腰を向けるように横たわっていた。
ちゃぷりと足元で立った水音になぜか恐怖が沸き起こる。
とっさに身を起こし、逃れようとした孫権の肩を、周泰の左手が押さえつけ、右手が後ろから腿を掴んで引き寄せる。
そのまま着物の裾がめくり上げられるのを感じて、孫権が声を上げた。
「何をするっ!」
だが、周泰は動じない。
「…ここが…一番、汚れていましょう…」
ひどく静かな、いっそ冷淡とも言えるような声だった。
その内容と、そぐわぬ声の冷たさに、拒絶の言葉すら出てこなくなった。
牀台の上、四つ這いの体勢で両腕に顔を埋めて羞恥に耐える。振り返ることが出来ないのは、おそらく恐怖からだろう。
怖かった。何も言わぬ周泰の、得体の知れぬ怒りがじわりと背にのしかかる。
それと同時に、どこか自分の胸の奥が期待のようなものを抱いているのも恐ろしい。
私は、何を考えて――――――
その部分を暴こうとする、周泰の手だけはやけに熱い。それを冷ますように水で濡らしてそっと指先が触れてきた。
「…っ」
何度かなぞって指をすすぎ、またなぞる。
荒らされた痕跡を、周泰は掃い消すように指で何度も撫でてくる。
ぐっとそこを指先に押されたとき、どろりと何かが漏れる感触がした。
「…………」
周泰が僅かに息を飲んだのがわかった。
予想はしていただろうが、それを目の当たりにすれば改めて凌辱の事実が二人に深く突き刺さる。
なにもかも、全て見られてしまった。
秘められた部分に残る傷跡も、
腹の底まで汚された証も。
もう一度、今度は二本の指がそこを開こうとすると、ぴりっとした痛みが走って孫権は思わず腰を引いた。
それを見た周泰が、香油を絡めてから再び指を挿し入れる。ずるりと中に潜り込んだ指が、戻ってくると白濁を伴って、何度も何度も角度を変えて挿し込まれては引かれていく。
できるなら、一滴残らず取り去ってほしいと思った。