[side:zhou-tai]

 

俺に縋る身体に、口には出さずに囁きかける。

俺はひどく凶暴で、
あなたほどのひとでなければ壊してしまいそうだった。

己でも持て余すこの激情を、
けれどあなたはそのしなやかな体と優しい心で全て受け止めてくださるのだ。

俺には…あなたしかいない。

いつも、気を張り詰めておられるあなたは、
君主であるがゆえに振り切らねばならないことの多さに心を痛めていらっしゃる。
しかしその強さも、あるいは弱さもまた、欠かすことの出来ぬ、王者の器だ。
あなただけが持つ。
お心のままに、生きてくださればよい。悔やまないでいただきたい。
俺はあなたに仕えることができて本当によかった。
あなたの夢のため戦える。こうして抱きしめるだけでなく。
不遜は承知の上だが、俺はあなたの心も、志も、その両方を守りたいのだ。

だからどうかあなたの為に生きることをお許しください。

己の感じる快感も、他で得ようがないほど激しいものだが、
あなたが、俺の腕の中でうっとりと昇りつめるのが、何よりも、嬉しく。
微笑みのまま崩れ落ちる体を抱きしめる。

腹の上、精をこぼせば、幸せの感覚。
かつて知りえなかった、心の安寧。

あなたの温もりが許してくださるから、

この手がどんなに血にまみれようと、自分を見失わずにいられる。
己の命と武とを迷わず孫呉への忠義に捧げることができるのだ。

 

 

 

 

 

夜毎、思い知る。君が、僕の唯一にして最愛。

 

 

 


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孫権に自分の全てを捧げられる周泰の深い愛情と、周泰の全てを受け入れられる孫権の器の広とさがぴったりかみ合ってるっていう関係を書きたかった。
要するにお似合いだね、てことです。
泰権といえば切なく苦悩したりすれ違ったりするのが大変萌えなわけですが、こういう、乱世や互いの立場や自分の性情やなんかも全部納得してる二人ってのもいいかな、と。
題は「憂い忘れの妙薬」の意。某ラルクの曲にもあるんでご存知の方もいらっしゃるかと。内容は歌詞と関係ないですけどね。
どちらかというとhideの「限界破裂」。いや、この歌みたいな「依存」ではないと思ってますが。

 

ちなみに対面座位のイメージ(死)