「周泰…」
自然と甘い響きを帯びてしまう声で呼ぶと、ふ、と蕩けるような微笑を見せて周泰が優しく孫権の肩を抱いてくるりと体の向きを変えさせた。
下衣をさらにおろし、後ろの腰垂れを捲り上げ、ぴしりと張った双丘をそっと割り割いて後孔に指を這わす。
唾液を絡めつつ徐々に入り口を解していく周泰の指を感じながら、孫権は大木の幹に手を付いてその時を待った。
くちゅくちゅと体内を暴かれていく感覚に、たまらず膝が割れ、かくりと崩れそうになった瞬間、大きな手が孫権の腰の両脇を支えて、ぐ、と熱いものが押し付けられた。
ゆっくりと入り込んでくる。
「あ、あぁ……」
今まで幾度も受け入れてきた周泰の雄、それでも毎回その硬度と質量に腰が震える。
七割方が収まったところで一度動きが止まる。そこで、ふぅ、と孫権は息をついた。
しばらくはそのまま、じりじりと焦がされるような感覚が鎮まるまで待つはずだったのに、ふと周泰が急に腰を揺らした。
「っ…っ!ちょっと待……っ、てっ、しゅうたっ…!」
孫権の制止の声に、眉を僅かに上げることだけで返して、周泰は動き始める。
「ぅああっ!」
すでに快楽を覚えこんでいる内壁は、ずず、と少しの摩擦だけでたまらないほどの快感を沸き立たせた。
いつもは孫権がいいと言ってからでないと動かない周泰は、だが時折、こうしてわずかにだけその機をずらす。
孫権を翻弄するためのその不意打ちは、体は痛みを感じることなくけれど心の準備が出来る前の、絶妙な瞬間に行われた。
「あっ、はっ、ぁんっ…!」
自分でも意識しようがないその一瞬を、どうして周泰が確実に捉えることができるのか、無論わかるはずもないが、それだけすべてを知り尽くされているのだろう、と思う。
だんだんと速く大きくなった動きのうちに、いつの間にか奥まで潜り込んできていた楔の先端に奥を突かれ、入り口の肉をめくるように根元で擦られ、張り出た笠の部分に中を掻き回されて、激流のような快感の波に飲みこまれる。
ぐちゅぐちゅと濡れた音を立てながら激しく出入りを繰りかえす周泰の得物に、繋がった粘膜がぴたりと吸い付くように絡んで、互いの快感をさらに増幅させた。
孫権の雄からと抽送にあわせて結合部から流れ出る露、二人分の先走りが孫権の内腿を伝って幾つも筋を描く。
熱と湿気がこもるその周辺を、ひやりとした夜気が通り抜けて孫権はふいに身を震わせた。
と、周泰の手が前に伸ばされる。
「あぁ…」
孫権の中央の下肢を包み込んだ周泰の手は、とても暖かかった。
それ、を、自身、だとか呼ぶ表現があるが、本当に体全体を包みこまれているかのような安堵を覚える。
…なんて、頼もしく、愛しい男だろう。
「ん…お前の手…っふ、暖かくて…心地よい…」
胸に迫った想いを、切れ切れの息の中なんとか言葉にすると、ゆっくりと孫権自身を扱き上げながら、周泰がふわりと囁いた。
「……それは…俺の方こそ……」
暖かなあなたの中に包まれて、とても、安心します、と孫権だけにしか向けられることのない甘やかな声で告げ、腰を優しく突き上げた。
上半身を抱え込むように左腕が回り、背に周泰の体が沿う。再び動きが激しくなる。
耳元に注ぎ込まれる熱い吐息。断続的に聞こえる空気の振動が感じられるほど低い響きは、鼓膜だけでなく腹の底や腰を震わせた。
「周泰…、周泰……っ!」
名を呼べば強く抱き締めてくる。
私を翻弄することを許した唯一の、そして私に、溺れることを許してくれた、優しい腕。
この男にどれだけ溺れても、決して沈むことはないと知っているから。
君主として、常に揺るぎなく立たねばならない私、だけれどこの男にだけはすべてを委ねられる。
幼き日からずっと見守ってきてくれたこの男に、とうの昔から命まで預けていたのだ。
今もこうしていつどこに敵兵が潜んでるとも知れぬ戦中だというのに、林の中などで情交に興じていられるのも、背に在るのが周泰だからだ。
外敵からも、私自身の弱さからも、彼の内の獣からさえ、私を守ってくれると、確信を超える強さでそう知っている。
私を抱き、快楽の海に突き落とし、被虐の陶酔を与えながら、それでも絶対に救い上げ、護り抜いてくれる存在。
深い漆黒の瞳、黒衣のこの男が纏う闇は、絶望の暗闇ではない。
静かで優しい、夜の宵闇だ。
一日のなすべき勤めを果たした後、安らぎと休息をもたらしてくれるあたたかな夜そのものだ。
「……孫権様……」
胸を揺さぶる低く甘い声に、孫権が首だけを巡らして振り向けば、右頬に、周泰の左頬に走る傷跡が触れて愛しさが募った。
孫権に兜の縁があたらぬよう、ぴたりと頬を合わせて固定してから、周泰がひときわ強く腰を叩きつける。
その激しい動きに、かしゃかしゃと硬い音を立ててゆれる周泰の鎧の脛楯も、決して孫権に触れることはない。
熱く張り詰めた得物で深く貫き通すように穿っていながら、どこまでも孫権の身を守り続ける大きな身体。
「あっ、あぁ、周泰…っもう……っ!」
掠れた声で限界を訴えると、前を愛撫する動きが早まり、孫権は、周泰の大きな手の中でどくりと精を弾けさせた。
「ああ―――――っ!!」
孫権の精を掌で受け止めながら腰を奥まで突き上げ、そして周泰はずるりと己を引き抜くと数度扱いて自分も欲望を解放させた。
「……ふ、」
二人の放ったものが混じりあい、周泰の指の間から零れてぱたぱたと落ちる。
溶け合う白濁が、足元の草の上ぬらりと光るのを見て、孫権は幸福そうに笑った。
周泰が己の手と二人のその部分を布で拭い、衣服を整えてから、もう一度向かい合って抱き合う。
どちらからともなく穏やかに重なった唇は、静かな林の中、いつまでも互いの温もりを分け合い続けていた。

 

 

 


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4のイメージで書いたThanatos/Erosと、同じ戦中エロでも結構違うもんだという話。
無双5の泰権は、こんな感じに甘甘(?)だと私は思っています。
以前日記で書いたとおり、無双5の権たん見た瞬間、腋舐めプレイ…!と思った変泰きわまりない私、この話が書けて本望です(笑)