たちの悪い、からみ酒だった。

 

「おまえの心根が実は人一倍熱いことは知っている。だがそれが色恋に向いたりはせんのか。」
「俺は…孫呉のため武に生きるのみ…」
「 まったくおまえはすぐそれだ。忠義に厚いのはよいが、情というのはまた別物だろう?
  家庭をもっていてもいい歳だろうに」
「身命を賭して孫権様をお護りするのに…そのような者は、邪魔に…」

 

「ふぅむ…よし!
ではあれだ、私を愛せ!
それならば任に支障はあるまい!」

 

…あまりの内容に、しばらく言葉が継げなかった。
孫権様はうん、そうだ、それがいいなどと一人でしきりにうなずいておられる。

 

「………お戯れを………」

 

「ああもう、いいから、ものは試しだ!ちょっと私を愛してみろ!
命令だ!君命だぞ! 私を愛せ!!」

 

畳み掛けるように無体なことをおっしゃって、
酒気のせいで潤んだ瞳で見上げてくるものだから。
それ以上見つめていたら、余計なことを口走ってしまいそうだったので、
おもわず俺は、つと目をそらした。
その一瞬の隙に。
ことり、と孫権様は寝入ってしまわれた。
くったりとしたその寝顔を眺め、ため息をつく。

 

「…その命令は、きけませぬ……」

 

 

すでに、俺にはあなたが全てなのに。

 

 

これ以上、どうやって。 

 

 

 


 

とか言いつつ、昨日より今日のほうがあなたをもっと愛してる、とか思う恥ずかしい思考の持ち主、周幼平。(笑)
「今日より明日が」じゃないんだよ。現実主義者だから。(こんだけ乙女思考にさせていまさら何を言っているのか)
いつも自重しすぎだけど、酔っ払ってフライング権たん。
もちろん目が潤んでたのは酒のせいではない。
でもわかりにくいよ!(笑)
周泰が自分に都合よく解釈するわけがないので
これじゃわかんないよ!!

そして次の日には記憶がない。
いつまでたっても進展しない。

こんな風に大人になると自重さんなので、むしろ子権の方が女王様なのです。

 

『もっと愛せよ!』(「歪んだ愛情10のお題」より)